宣教師時代に2年間ほとんど毎日3人のアメリカ人と暮らしてました。英語が飛び交い、最初の3ヶ月は何を言っているのか?全く分かりませんでした。唯一分かったのは私の名前だけでした。しかし、ある時期を過ぎると、かなり明確に耳が識別するようになりました。2年目には普通に英語で会話が出来るようになっていました。有り難い変化だったと思います。就職しても英語が出来るということで、海外プラントを任されるようになりました。その一つが「カタール国ドーハ市の農業用水3次処理プラント」でした。これは、ドーハ市に農業用水を送る為、下水処理場から出た排水を、砂濾過して塩素消毒して送水するプラントです。総工費は30億円。国際入札が行なわれました。この時もう一つの案件が有り、そちらは60億ほどの規模でした。会社としては60億のプラントを受注することに重きを置いて活動していました。そのため、ドーハの3次処理プラントは見積もりの精度も甘くて、「まあ、受注することは無いだろう」という感覚で、熱を入れない受注活動でした。ところが、「取れちゃった!」と海外営業部は驚いて、言葉がそれ以上出ませんでした。60億の案件は失注しました。3次処理は罰金契約で、納期が遅れたらその分罰金として支払いから差し引かれるという契約だったのです。そして、この担当が私になりました。あしかけ3年間の仕事です。最初の一年は設計のすりあわせで、ロンドンのコンサルタントと実際の詰めを行ない、残りの2年でカタールの現地で、土木建設から、機械搬入、据え付け工事、試運転、引き渡しとなる。
”カイブルって何だい?”

受注が決まると、ほぼ毎月10日間ほどロンドンに出向き、コンサルタントと設計打ち合わせを行ないました。土木と機械は私が担当して電気は電気課が担当しました。大体私と電気部のK課長が一緒に行きました。有るときK課長が行けなくて部長が行くことになりました。最初の渡航の時は営業担当もロンドンに行ったのですが、私もK課長も英語での打ち合わせは出来たので、2回目からは営業の同行はなくなりました。何しろドンブリ勘定で受注してしまった案件なので、「赤字だったらどうしよう?」と営業がおびえてしまい、経費節減に励んだのです。そして、電気部のI部長が一緒に行きました。営業が「部長、通訳無しで大丈夫ですか?」と尋ねても「大丈夫だよ!馬鹿にするなよ!」の一点張り。それじゃあお願いしますとなりました。
そして、実際にロンドンで打ち合わせが行なわれました。私とは別の部屋でI部長は電気の打ち合わせをして、日本に一緒に帰ってきました。日本での報告会議でI部長が「いやあ、大体は理解出来たよ。だけど一つわかんない言葉があってさ」えっ、それって何ですか?「カイブル、カイブルって出てきてさ分からなかった」「部長、それってCable:ケーブルじゃあないですか?」キングズイングリッシュの発音だと、確かにカイブルとは聞こえる。だけど問題はそこではなくて、電気の打ち合わせを数日間やっていたのに、基本的なケーブル(電線)という言葉の意味が部長はわからないままだったという事実!これには参りました。(^0^) I課長が次回にロンドンに行ってやり直せば良いと自分に言い聞かせました。

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